日本では働き方改革関連法の施行も後押しし、近年日本型雇用はますます変化の一途をたどっています。
こうした流れを受けて、昨今では規模の大小を問わずキャリアマネジメントの考え方が広く浸透しつつあります。
実際には、従業員のキャリアデザイン研修の実施や社内にキャリアカウンセラーを配置するなど、キャリア支援の具体的な施策を行っている企業が増えてきました。しかし、こういった施策を対処的に行っている企業もあれば、長期的視野をもって人事目標に組み込んでいる企業もあるでしょう。
さて、このようなキャリアマネジメントは経営・組織・人にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
キャリアとは?
キャリアマネジメントが日本企業や働く人々に広がってきたとはいえ、その本来の目的や、土台にある社会的背景、人間のキャリア発達などについて十分に理解されていないというのが現状です。
そもそも、キャリアとは何を表すのでしょうか?
実は日本ではキャリアという言葉は、夫々の企業や人によっても認識が違うようです。
1970年代から現代にいたるまで研究されてきた代表的なキャリア理論では、キャリアとは、役職・職能などの客観的名称で表せる外的キャリアと、個人が主観的に経験する段階や課題といった内的キャリアを指します。(Shein,E.H.1978)
また、キャリアとは仕事など1つの役割に限られたことではなく、家庭・学校・地域社会など、まるで虹のように人生におけるさまざまな役割の組み合わせであるというライフキャリアの概念があります(Super,D.E.1980)
キャリアマネジメントの重要性
ーキャリアマネジメントは企業・組織・人にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
そもそもキャリアマネジメントの背景は20世紀後半に遡ります。長きにわたり世界的規模での技術革新が労働形態を変化させていき、さらに日本では少子高齢化や好景気からの急激な景気後退期を経験したことによる雇用情勢の劇的な変化がありました。
このような外部環境においても事業を継続し発展し続けるためには、組織の内部環境も変化に適応しうる体制に整えなくてはなりません。一方、従来からある一般的な企業の考え方は、組織の成果拡大を前提とした一方的な人的資源計画と教育研修でした。
しかし、終身雇用体制が崩れ雇用形態が一気に多様化した現代において、企業が従業員に対し将来にわたって経済的安定を保証することが難しくなっています。そうなると個人は組織目標に沿うようなキャリアを形成するだけでなく、他社でも通用するエンプロイアビリティを向上させたり、自身の価値観や就業意識に合った就業機会を選択することも厭わなくなります。
このような経済環境・労働市場において組織成果を達成しつづけるためには、企業は経営資源である人を安定的に確保することで人材構成を最適に維持する必要があり、これまでの人材戦略のあり方の変更を余儀なくされています。したがって、企業にとっては従業員が自分で選択しマネジメントしていくキャリア形成を前提とした人材育成や人材開発、採用、評価といった人的資源管理を行っていかなくてはならないということになります。
一方、個人にとっては自分の生活に対して責任を持ち、自律的かつ変化に適応できるようなキャリアを自身の力で形成していく責任を負うということになります。
こうした、一見利害が相反するように見える企業と人との関係ですが、両者が共存共栄し幸福な関係をつくることは決して不可能ではなく、まさに理にかなっているといえます。これがまさに今日のキャリアマネジメントのあり方なのです。
組織にとっては従業員の生産性を上げる取り組みにより成果を上げる事ができ、個人にとっては従事する仕事が自己成長や自己実現につながる、そのような両者の調和を図ることがキャリアマネジメントの目標となれば、遅かれ早かれ人事戦略は着実に成功へと向かうでしょう。
キャリアマネジメント支援
※上記は支援内容の一例です。実際に扱うテーマ・支援内容はクライアント毎に異なります。
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