今日はエグゼクティブサーチとコーチングについて考えたいと思います。
エグゼクティブサーチ、すなわちヘッドハンティングという人材獲得の手法は1929年世界恐慌後の大不況下にアメリカで生まれたと言われています。それが日本の採用手法として普及してからは15年〜20年余り経っているでしょうか。
ずいぶん昔の話になりますが、私が社会に出て数年経った頃ひょんなことから元ヘッドハンターの方に出会い、ヘッドハンティングという謎めいたものに強い関心を持ったことを憶えています。
そして、ある1通の見知らぬヘッドハンターからの手紙をきっかけに人事コンサルティング業界に足を踏み入れることとなり、私自身も一時期ヘッドハンターとして名だたる企業や急成長中のベンチャー企業の経営者から特命人事をいくつもお預かりする名誉をいただきました。今振り返ってもあの経験は非常に稀で、大変エキサイティングで達成感もたいへん大きかった反面、日々多忙を極めとてつもなく過酷な労働環境で働いていたことを憶えています。この経験はまた別の機会にとりあげます。
エグゼクティブサーチの普及と同じ頃、全く異なる経路からエグゼクティブコーチングやビジネスコーチングといった人材開発の手法もアメリカから日本に広がったようです。
実は私がヘッドハンターをしていた頃、このエグゼクティブサーチとエグゼクティブコーチングというものは別物でありながら密接な関わりがあるということを知り、大きな感銘を受けました。
というのも、エグゼクティブコーチングというものが経営者の人材開発という側面だけでなく、ヘッドハンティングにより新会社に就任したばかりの経営者や経営幹部ができるだけ早期に新しい環境に適応し、スムーズに経営のパフォーマンスを上げていけるようにと付与される、広義のベネフィットでもあるということを知り、妙にストンと腑に落ちたからなのです。
当時おそらく日本で最も数多くの案件を抱えていたエグゼクティブファームでの経験によって、辿り着いた私の個人的な見解を述べさせていただくと、既にエグゼクティブサーチは日本でも市民権を得ていると思います。しかし、実際には転職した後の経営者や経営幹部、次世代幹部人材などは当然早期にパフォーマンスを上げるべきものと多大な期待をされる一方、エグゼクティブコーチングなどの手厚い支援や人材開発などをベネフィットとして付与されたりというケースはこれまで稀でした。
私はいくつかの実体験から、経営者や経営幹部が慣れない環境で業績をあげたり、新規事業を立ち上げたり、組織改革を進めるなどの大きなチャレンジを行う際、いかに苦労が大きいかを身をもって知っています。
こういった経験から、私はエグゼクティブコーチングという形で経営者の方々の目標達成と幸福感のために全力でサポートをさせていただきたいと考えるようになったのです。ひいては会社の発展、そこに勤める方々やご家族、その他取り巻くステークホルダーや社会全体への貢献につながると信じております。コーチングキャリア株式会社 代表取締役 志方和美