· 

コロナ禍でのエグゼクティブコーチング

本日はコロナ禍でのオンラインコーチング、主にエグゼクティブコーチングについて考えてみたいと思います。

新型コロナウイルスの世界的な拡大によって、これまで失われてきたものの重みは計り知れませんが、私たちはこの険しい山を越えるべく、生活においても働き方においてもニューノーマルという新しい生き方を受け入れてきました。

コーチングキャリア株式会社でも2020年以降このパンデミックの影響を避けることはできず、やむを得ずコーチングやカウンセリング、研修等の対面支援をオンライン化する決断をいたしました。当初、私個人の考えとしては、オンライン形式は対面形式に及ばないのではと想像しておりましたが、実際にはZoom Meeting等の便利なWEB会議ツールの普及によりクライアント側、コーチ側双方にとってストレスがさほどなく、思いのほかスムーズにオンライン化ができたと実感しております。

さて、この度は経営者向けのエグゼクティブコーチングを例に、オンラインコーチングのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。

まずデメリットとしては、これはエグゼクティブコーチングに限りませんが、通常対面で行っているコーチングスキルの一部がオンラインでは使用できない点です。例えば、コーチングにおいてはクライアントが目標を達成するための重要な気づきを得るためにコーチが様々な質問をするのですが、その際にクライアントの内面に起きているであろう変化を把握するため、外面に出てくる現象をコーチは入念に観察します。その際、例えばオンラインの場合では、クライアントの声色や顔色、表情の大きな変化等は捉えることができても、瞼の素早い動きや身体の傾き、振動といった細かな部分まで捉えることは難しくなり、対面に比べ得られる情報量は減ってしまいます。

しかしながら、実際のコーチングセッションでは必ずしも五感を駆使するほどの情報量は必要はなく、オンラインで少なくとも視覚や聴覚といった感覚を使うことができれば、セッションのなかでクライアントの自己理解は進み、コーチ側もクライアントを理解することが十分可能だと思われます。

一方、オンラインによるコーチングのメリットとしては、パンデミックの影響を受けにくいだけでなく、実施場所の確保やプライバシーの保護が容易になるという点があります。従来では、多忙を極める経営者の方が一定時間落ち着いて自身のことを考えることができ、さらに経営という非常に機密度の高い内容をテーマとして扱うのにふさわしい場所をタイムリーに確保するのは容易ではありませんでした。さらに、セッション場所の確保のためにクライアントの費用的負担も少なからずありました。

しかしながら、この度国内で急速に普及してきたテレワークにより、エグゼクティブコーチングのセッションが自宅の一室で可能になったり、ビジネスラウンジの個室など非常に利便性が高く寛げる環境で可能になったため、多くの場合にメリットがデメリットを上回っているのではないかと考えています。

実際に私が扱うケースになりますが、コロナ禍の先行き不透明な現状のなか経営者向けのコーチングでは喫緊の課題が尽きることなく、従来よりエグゼクティブコーチングは長期化の傾向にあります。

企業信用調査のデータによれば、2021年4月以降新型コロナウイルス拡大の影響で企業の倒産ペースが加速しているという見方があり、今後の経済環境悪化が懸念される現状ですが、1社でも多くの企業が存続し人と社会が発展していくためにエグゼクティブコーチングの重要性を身に染みて感じております。コーチングキャリア株式会社 代表取締役 志方和美