今日はキャリアとトランジッション(移行期)について考えてみたいと思います。
ここで扱う‘キャリア‘は仕事に限ったものではなく、学習、家庭生活、介護、治療、余暇、ボランティア、その他地域社会との関わりといった人生全体をテーマとしたライフキャリアとして考えます。
キャリアや人生において、予期せぬことは度々起こります。私たちが当たり前の日常だと考えていた仕事や生活が一変するとき、その変化が大きければ大きいほど、変化への適応に時間がかかってしまったり、場合によっては進むべき方向性が見えてこず、茫然と立ち尽くしてしまうことがあります。こうした大きな変化から新しいキャリアステージへと進む移行期をトランジッションといいます。
最近多くの人が経験した、あるいは今まさに過渡期であるトランジッションのひとつは、まさに新型コロナウイルス拡大による仕事・生活スタイルの劇的な変化といえると思います。
これは個人的な事ですが、コロナショック初期には仕事・生活のすべてが変化したことで心身ともにストレスが大きく、身体の不調や円形脱毛症に悩まされる時期が私にもありました。
ふり返れば、過去にも2008年のリーマンショック、2011年の関東大震災といった経済・社会環境が世界的規模で悪化した時期が長くありましたが、これらも多くの人にとって大きなトランジッションだったといえるでしょう。私はこのような時期に転職や事業の立ち上げをそれぞれ経験しましたが、当時は同時に病気の治療も並行していたため、やはり心身共に大きな負荷を感じながらのトランジッションだったと思います。
トランジッションはこのような世界的規模の出来事だけでなく、例えば就職や転職、結婚や離婚、出産後の復職や定年退職後のセカンドキャリアへの移行期なども、トランジッションと捉えられるのではないでしょうか。
さて、前置きが長くなりましたが、このトランジッションに遭遇した時、どのような対処ができれば、その人にとって望ましい未来を得ることができるでしょうか。
まずは人生の転換期ともいえるトランジッションの時期を冷静に受け入れること、次に有効なオプションやリソースを活用して上手に乗り越えていくことで、次の望ましいステージへと進んでいくことができるようになります。
このトランジッションを乗り越える方法としては、これまでの人生のなかで人がそれぞれ自分に合ったやり方を身につけていたり、悩みを相談できる相手がいる場合もあると思います。
一方で、コーチングやキャリアカウンセリング、セラピーなど心理的な知識やコミュニケーション技能をもった専門家の実践的サポートが有効な手段になるケースも多々あります。
昨今では、経営者や企業に勤める上位管理職向けにキャリア開発の一環としてこうした支援が定着してきています。また、法人に限らず個人でプロフェッショナルコーチと契約し定期的なセッションを受けることでトランジッションを上手に乗り越えるだけでなく、ライフキャリアにおける目標達成や夢を叶えるという喜びを実感している方も多くいます。
ちなみに私の場合では、セルフコーチングという自分自身に行うコーチングや、親しい友人と話すことで乗り越えられないケースは、テーマに応じて一定期間プロフェッショナルコーチ又はキャリアカウンセラーに相談しながら解決していくようにしています。そのほうがより速いスピードで自分が納得のいく結果を得ることができ、心身共に気持ちよく充実したライフキャリアを過ごすことができるからです。 コーチングキャリア株式会社 代表取締役 志方和美