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キャリアの概念

キャリアという言葉が日本社会で広く受け入れられ、様々な立場や意図から語られることで、この言葉が一人歩きしているようです。

そもそも、キャリアやコーチング、さらにカウンセリングといったものの概念は欧米で生まれ、多くの理論家によって研究され長い年月をかけて発展してきたものです。なかでもキャリアという言葉は日本社会に浸透していく過程で、多くの人によって語られるうちに多面的な意味を持ってきたのかもしれません。

例えば日本で使われているキャリア思考やキャリアアップという言葉を例に挙げると、これらは階層的組織において垂直的なキャリア形成や出世だけを具体的にイメージして使われることが未だにあると思います。しかしながら、実際のキャリア形成というのはもっと多様で、複雑で、実は働く人に限ったものでもありません。

現代キャリア理論の主流となっているのはライフキャリアという考え方です。これは、キャリアとは仕事だけでなく家庭生活(結婚・育児・介護・通院等)、学習(自己啓発)、地域社会での活動、趣味など、生涯で人が果たすべき役割や経験の積み重ねといったものになります。ゆえにキャリアというものは人が社会に出て仕事を持っている時期といった、一生の一時期に形成されるものではなく、全ての人の発達段階に当てはまるものです。キャリア形成は将来展望を持ち始める学生時代にはすでに始まっており、一生涯続いていくものなのです。そして、キャリアは人生のさまざまな局面やライフイベントによって変化し、また複数の役割(立場)が重なり合ったりもします。ライフイベントによって大きな幸せを感じることもありますが、時には劇的な変化や苦難にも直面します。

このようなライフキャリアの目標を持ち実現していくことは、多くの人にとって大きな遣り甲斐や満足感につながるのだと考えます。コーチングキャリア株式会社 代表取締役 志方和美